学校での「居眠り」について

学習面

 進学校に通う生徒たちには、常に高いレベルの学習意欲と集中力が求められます。
しかし、現実にはそういった理想的な学習態度でなく、授業中に「居眠り」をする生徒もいます。
授業中の居眠りは、授業の内容が頭に入らず、クラス全体の学習効果にも悪影響を与えます。
 学年が進むにつれ、学習内容が複雑になるため、基礎からしっかりと理解することが求められます。しかし、居眠りにより内容の理解が著しく低下し、基礎的な知識を欠くことになります。当然、学習に支障が出ますし、場合によっては学校生活の存続にかかわる事態に発展します。

 今回は、授業中のみならず学校内・・・で見られる「生徒の居眠り」について言及します。

居眠りの理由

居眠りの原因は以下のようなものが考えらます。

(1)睡眠不足・・・十分な睡眠を取れていないため、授業中に眠気が襲ってくる

(2)食事の欠如・・・食事を取らずに授業に出席しているため、体力不足で眠気が出る

(3)ストレス・・・学業、人間関係などのストレスによる疲れが溜まり眠気が出る

(4)無関心・・・授業内容に興味を持っておらず、授業中に他のことに気を取られて眠くなる

(5)授業内容がつまらない・・・授業内容がつまらなく、退屈で眠気が出る

(6)授業スタイルの不一致・・・授業の内容と自分の能力とに乖離があり、眠くなる

(7)環境が悪い・・・教室の温度や照明、席の位置が居心地が悪く、眠くなる

(8)体調不良・・・風邪や体調不良で、疲れや眠気が出て授業中に居眠りをしてしまう

このようなものが、居眠りをしてしまう一般的な理由でしょう。

生徒が居眠りをしている光景は、学校ではよく見かけるものかもしれません。
「正常な範囲での居眠り」をしている場合は、本人次第で立て直しは可能です。

しかし「異常な居眠り」については、本人の意思だけでは立て直しが困難になってきます。
教員、保護者は特に注意して観察し、場合によっては適切なサポートが必要になります。

異常な居眠り(1)

理性によるコントロールがない居眠り

「この授業で寝てしまっては、今後がヤバい。寝るのを我慢しよう。」
「まあ、この授業で寝ても、教科書を読んだり、後から友達に聴けば大丈夫だろう」
「寝たら先生に怒鳴られてしまう。怒られるの嫌だから寝るの我慢しよう。」

このように考える生徒がいることは想像できるでしょう。
生徒たちは少しばかり考えた後、睡眠をするかしないかを選択します。
寝ないという選択をしても寝てしまうこともありますが…。

ただ「理性によるコントロールが(全く)ない居眠り」は危険です。
まるで意識を失ってしまうがごとく。

このような生徒の居眠りの特徴は、授業中のみにとどまりません。
HR時、休み時間、食事時間など、授業中以外にも机に突っ伏して寝ている状況が見られます。
授業中に関しては、授業担当者、教科、授業内容への興味などはお構いなしに眠ってしまいます。
教員や友人たちとのコミュニケーションもなく、眠り続けます。

この状況の生徒たちは、例えば授業中、教員が何度注意しても起きていることができません。
教員は授業の進行を何度もとめるわけにはいきませんし、異常な居眠りは「体調不良」とみなします。
やがて、教員によってはその生徒を起こすことをしなくなります。

原因について

保護者や本人からの聞き取りでは、居眠りの原因は「睡眠不足」という典型的なものです。
「睡眠不足」ではなく「寝ていない」という表現が適切でしょう。

個々の生徒によって居眠りの原因は様々ですが、
近年、生徒たちの夜更かしを助長するもの、睡眠を奪う理由としましては以下が代表例です。

  • スマートフォン、タブレット、パソコンなどの電子機器を使用、SNSチェック
  • ゲームやオンラインのコミュニティーに参加している場合

現代の問題となっている「スマホ依存症」などと診断され、医療機関にかかったり、カウンセリング等を受ける生徒も多くなってきました。
子どもは夜間、保護者に隠れて何かに夢中になっている場合があります。
以前はそうでもなかったのに、急に「異常な居眠り」をするようになったら要注意です。

異常な居眠り(2)

授業内容と自身の能力の乖離

 進学校では大学進学を前提とした高度な教育を提供します。授業内容が標準的なものよりも難易度が高く、授業時間も多い、そして授業進度も早いというのが一般的です。

 生徒によっては、学校のカリキュラムについていくのが難しいと感じることもあるでしょう。
また、授業が進むにつれて、自分の理解力が追いつかなくなることもあります。

授業中の居眠りが常態化している生徒がいる時、教員は「だらしない」、「気が抜けている」で終えてはならず、その理由を考える必要があります。

「授業内容をまったく理解できない状況にまでなっているのではないか」と確認すべきです。

生徒にとって授業内容を全く理解できないという状況は非常に厳しく、苦しいものです。
何とかしようとする意志があっても、内容がまったく理解できず、眠ってしまうことは生徒自身にとっても大変残念で悲しいことです。

授業内容と自分の能力がある程度一致している状況でなければ学力の向上は望めません。

対策について

 この状況を打破するためには、生徒自身が積極的に努力し、また、教師や家庭の支援を受けることが重要です。教師が授業内容を丁寧に説明したり、個別に指導したり、家庭でも勉強をサポートすることで、生徒たちは授業内容を理解し、学習意欲を回復することができるでしょう。(実行できれば…。)

しかし、進学校ではどんどん授業が進行していきます。
気付いたときには修復不能なほど、授業内容と自身の能力の乖離が進んでいる場合があります。
並みの努力では追いつけないことは容易に想像できるでしょう。

教員、保護者は状況を見極める必要があります。
子どもが内容をまったく理解できない授業が行われている教室にいつまでも身を置き、どんどん事態が悪化していくことを食い止めるため、環境を変える、いわゆる進路変更という選択肢も検討しておくべきです。

さいごに

今回は「居眠りをする」という状態にスポットをあてました。

子どもたちの言動や態度には、彼らの内面が反映されています。
その中には、自信や緊張、関心や無関心、そして時には反抗心や協力意欲も含まれています。

教師や保護者は、子どもの様子をよく見て、適時適切にサポートすることが非常に重要です。
生徒の学習環境を整えることはもちろん、生徒が健康的に成長できるよう、心理的な支援をすることも必要です。

「たかが居眠り、されど居眠り」

最後までお読み頂きありがとうございました。


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