こんな学習スタイルはタブー!?

学習面

近年、学習スタイルの多様化が進み、オンライン学習や自己学習が一般的になりました。
しかし「タブーな学習スタイル」というものも存在するものです。
そこで今回は「避けるべき学習スタイル」について紹介していきます。
あなたが今まで当たり前だと思っていた学習スタイルは、実はタブーかもしれません。
この内容を読むことで、より効果的な学習スタイルを見つける手助けになれば幸いです。

暗記と理解、応用能力のバランスが悪い

 暗記中心の学習スタイルは、理解や応用力に欠けることがあります。
 単に暗記した知識を使いこなせるわけではなく、応用することができないため、実際の問題解決や実践的なスキル習得には不十分な場合があります。
 また、暗記には限界があるため、新しい情報を記憶することが難しくなることがあります。
 暗記に偏らず、理解や応用能力を高める学習スタイルを取り入れることが重要です。

 ここまでの説明だと「暗記はよくない!」というネガティブな印象を与えていると思いますが、
決してそうではありません。「暗記は大切」です。むしろ「学習の基本」とも思えます。

以下のような事例を紹介します。

 中学受験を勝ち抜いてきた子は「算数」(論理的思考)が強い傾向が見て取れます。
小学生のお受験でも、大学入試でも、ライバルに得点で差がつけやすいのが「理数系の科目」です。
「算数・数学が好き」 それはとても素敵なことなのですが、陥っていけないことがあります。
理解、思考が至上のものとなり、知識の獲得を疎かにすることです。
その結果「極端に暗記を嫌がる」「暗記をめんどうくさがる」という傾向が表れることがあります。

 例えば、数学では「定理の理解は大前提で(覚えて・・・)使う」ことによって、
解答のスピードが増します。
 理科ではどうでしょうか?元素記号「H、He、Li、Be・・・」(懐かしい・・・。)
元素は化学の世界の言語のようなものです。一定数覚えることはマストです。

 しかし、「覚えること」を避ける生徒が一定数出てきます。
 漢字、英単語などを身につける意識が低い。
 古典などはどうでしょうか・・・?「拒絶する生徒」すら見られます。

「基礎知識が薄い(理系型でならぬ)非文系型生徒」になっていきます。

このような生徒たちが、学年が上がっていくにつれ、どのようになっていくかを想像することは
難しくはないのではないでしょうか?

つまり、暗記と理解、応用能力のバランスが重要ということです。

時間管理がない

「時間管理のない学習スタイル」とは「無計画の学習スタイル」とほぼ同義と捉えることができます。今回は次のような切り口で紹介しようと思います。

進学校においては、各教科の進度が非常に速い特徴があります。
難関大学の入試を突破するためには、高校2年生の段階で教科書レベルの理解を概ね完成させ、
それ以降は難関大学入試(二次試験)対策を始める方法が多くの進学校で採用されています。

必然的に日々取り組まねばならない予習や課題の量が大量になります。
これらを消化するためには、まさに「計画的な学習」が必要になるわけですが、
「特定の教科だけに取り組む」、「一問に何時間でも時間かける」というような無計画で非効率な学習になってしまうことがあります。
結果的に学習が手つかずの教科もあり、教科バランスは大きく崩れます。

このような状況に陥らないためにも、まさに「日々の学習計画」が必要です。
例えば、4時間の学習時間なら,「2時間は数学予習、1時間は英語小テストの対策、のこりの1時間は授業ノートの見直し」というように、ざっくりでいいので計画を立てましょう。
無計画で机に向かい、結局は「次の日の数学の予習だけで終わったなぁ」とならないように・・・。

「教科の好き嫌い」は言うまでもなく教科バランスを崩します。
予習で解けない問題に出会ったら、いつまでも固執せず、「ある程度で見切り、授業や教員への質問で理解する」という気持ちの切り替えが大切です。

自己流を曲げない

「勉強スタイルの自己流」、「解き方の自己流」など様々な自己流がありますが、
「教科担当者の指導を忠実に守らない学習方法」と捉えてください。

自分で学習スタイルや解き方を創造していくことは大切なことですが、「未熟な段階での自己流」は
自分自身の知識や経験に基づいて行われるため、偏りや欠落が生じる可能性があります。

教科担当者は教科会などで話し合われた計画をもとに学習指導を組み立てます。
出口レベル(卒業後の受験)を見据えた学習計画が立てられているということです。
「どの時点でどの程度の力をつけていなければならないか」
「どのような学習スタイルが今後を見据えた時にスムーズにいくか」
「どのような解法を身に着けていることが効率的か」などと、
様々な事を考慮したうえでの授業内容になっています。

初回の授業では「オリエンテーション」と称して、「学習の手引き」を示すものです。
ここで示されたものが、各教科担当者の授業を受ける際に大事にしてほしい学習スタイルです。

例えば、学習の基本的なスキルである「読み方」「メモの取り方」「問題解決の方法」などを正しく身につけることで、高度な知識やスキルを長期的に効率的に習得することができます。

未熟な段階での自己流の学習には限界があり、逆に効率の悪さをいずれは露呈することになります。

「一旦、素直に教科担当者の指導を受け入れる」という姿勢を大切にしてほしいです。

デバイス(PC・スマホ)にすぐ頼る

「いつでもどこでも情報にアクセスできる」という利便性から、私たちはデバイスに頼ることが増えています。教育の現場でもPCやタブレットを使った学習は積極的に取り入れられてきました。
私も現代の進化を積極的に教育の現場に導入していくべきという立場をとります。

 自学自習においても上手にデバイスを扱えるならばきっと学習効果の向上は大いに期待できます。

 ・・・上手に使えればです。

 例えば、分からない問題に出会ったときに、間髪入れずにデバイス(PC・スマホ)にすぐ頼ることは、逆効果が考えらます。情報の海であるネットの中には、答えがそのまま落ちていることも多々あります。そのようなデバイスの使い方で論理的思考が育つでしょうか。
むしろ脳の情報を処理する能力が低下するという研究も出ております。

デバイスにすぐ頼る学習スタイルには、欠点があることを知り、
現時点の学習方法としては、デバイスとリアルな教材をバランスよく使い分けることが、
より効果的な学習につながるでしょう。

苦手科目を得意科目でカバーしようとする

  • 苦手な科目に対しても積極的に取り組むことで、自分の弱点を克服することができる。
  • 苦手な分野に向き合い、その分野の理解を深めることで、より広い視野を持つことができ、学習の幅が広がります

特定の教科のみを学ぶことは、学問のつながりを見失うことに繋がります。
現実の問題は、単一の科目だけで解決されることはめったにありません。
より広い視野を持ち、複数の分野を統合することで、より深い理解と知識を獲得することができます。


(ここで少し、進学校ブログらしい受験の話を・・・)

「苦手科目を得意科目でカバーしようとする学習スタイル」は受験においては勧められません。

 日本の大学入試試験には2つの段階があります。
 一次試験は、国公立大学を中心に、大学が定めた出題範囲から出題される試験で、学力を測る試験。主に共通テスト(旧大学入試センター試験)や大学独自の入試試験があります。
 二次試験は、国公立大学や私立大学を中心に、大学ごとに定められた出題範囲から出題される試験で、ペーパ試験のみならず面接や作文、実技試験などもあります。

ここでは共通テスト(一次試験)の話ですが、
超難関校、医学部を合格を見据えた場合、共通テストで9割超(900点満点の場合810点)の得点率を獲得できる力を持つことが目標とされます。

「理数系の科目は抜群であるが、それ以外の教科は論外」という生徒の得点を考えてみます。
(極端かもしれませんが・・・現実味はありますので御了承ください。)

国語:120点/200点満点  
数学:200点/200点満点  
英語:140点/200点満点
理科:190点/200点満点
社会: 60点/100点満点  
合計:710点/900点満点

理数系は抜群ですが、9割超には遠く及ばないことが分かるのではないでしょうか?
「2次試験で挽回すればいいじゃないか!」との意見もあるかもしれませんが、
結局のところ合格者の大半は「どの教科も高いレベルで装備されている者」が現実です。

教科を好き嫌いすることなく、どの教科にも意欲的に学び自分の成長を促してください。

最後に

最後までお付き合い頂きありがとうございました。

正しい学習法には、効率的な学習プロセスを設計し、実践するための科学的根拠があります。
正しい学習法を用いることで、より効果的かつスムーズな学習をすることができます。

集団学習が主である学校教育では、全生徒に最大効果を同時に与えることはなかなか困難です。

まずは、教科担当者のアドバイスを素直に聞き、実践することから始めましょう。
実践する中で「もっとこうすればいいんじゃないだろうか」と日々検証を重ねてください。

自分にもっとも最適と思える学習スタイルを見出して頂ければ幸いです。


コメント

タイトルとURLをコピーしました