思春期における傷つきやすさについて

生活面

思春期は成長する上で重要な時期です。
その時期は多くの人にとっては感情の起伏が激しく、自己肯定感が低下しやすい時期でもあります。
周りの影響や社会的なプレッシャーも大きく、傷つきやすい時期でもあります。
この時期を上手に乗り越えることは、将来的に豊かな人間関係や健康的な心の発達につながります。
今回は「思春期の傷つきやすさ」について探求していきます。

近年、思春期の子どもたちは傷つきやすくなっている?

進学校に入学してきた中学1年生には、
「小学校時代、成績優秀で運動もできる。学級委員でした。」という子が生徒がたくさんいます。
そんな子たちがたくさん集まった新しいクラスで新生活が始まるのです・・・。

ところで「自己万能感脅威説」という説を聞いたことがありますか。
自分自身に対して過剰な期待を持ち、それに見合う成果を出せないことで自己評価が低下し、
「傷つきやすくなる」という説です。

近年、社会や親からの期待が高く、勉強や部活動、さらにはSNS上での自己表現など、様々な場面で競争や評価が求められるようになっています。
その中で、思春期の子供たちは、自己評価を高めるために様々な努力をしていますが、その成果に見合う評価を得られなかった場合、自己評価が低下し、傷つきやすくなると考えられます。

「思春期の傷つき」について

「思春期の傷つき」について詳しく解説します。

自己アイデンティティの確立と外界からの批判による傷つき

思春期は自己のアイデンティティを確立するための探求期間であり、自分自身の性格や価値観を理解するために、外界からの評価や批判に敏感になります。したがって、友人や家族からの否定的なコメントや社会的な排除などにより、傷つくことがあります。

身体的変化と自己イメージの不安定化による精神的な傷つき

身体的な変化が起こることで、自己イメージに不安を抱くことがあります。思春期の成長によって、自分自身に対する不安定感が生じたり、自己評価が低下したりすることがあります。また、思春期のストレスや不安によって、うつ病や不安障害などの精神的な問題が発生する可能性もあります。

社会的変化と関係性の葛藤による傷つき

思春期は社会的な変化も大きく、友人関係や恋愛、親子関係などが深く影響を受けます。これらの関係で、失望や裏切り、嫉妬や嫌悪などの感情が起こり、傷つくことがあります。

思春期の子どもたちの傷ついた時の反応は

「自分はかけがえのない存在」、「自分は世界の中心」といった乳児期だけでなく、
「自分は周りの子たちよりも何でもできる」、「周りに結構チヤホヤされていた」といった児童期を過ごしてきた子を想像してください。

思春期になると以下のような状況にさらされることがあります。

  • 自分が傷つくことに対する恐れが大きくなっていく。
  • 他人との関係で傷つくことへの「対人免疫」が乏しい。
  • 致命的でもない体験を致命傷だと思い込んでしまう。
  • 「勉強やスポーツ、容姿、もてる・もてない」といった優劣巧拙、優勝劣敗に嫌でも直面

「万能感を温存したまま思春期に入ってしまった子」は、反動があった場合の傷つきが度合いが大きいことでしょう。
転んだときの起き上がり方、傷ついたときの対応の仕方の経験が乏しいことが理由にあります。

よって思春期には、厳しい現実生活をこなしていく力を習得していくことが大切でしょう。

「傷つき体験」の意味

思春期の厳しい現実生活をこなしていく力を習得していくために、

「傷ついても大丈夫だった」、「立ち直ることができた」という体験
つまり、適度な「傷つき体験」は必要となります。
「どこまでは大丈夫で、どこまでが大丈夫でないか」という大まかなラインを自身で分かること。
(もちろん、一撃で致命傷となる傷つきは避けれるものなら避けねばなりません。)

「傷つき体験を持つために」ということが目的ではありませんが、
教室での人間関係や学業への取り組みのみならず、部活動や学校行事へ積極的に関わりを持つことは、様々な豊かな体験をもたらしてくれることでしょう。

「恥」、「失敗」、「傷つき」からの立ち直り体験をとおして
「居心地のよいまぼろしの万能感」や「過剰な自意識」、「傷つきやすい自己像」を捨て、
現実をこなしていく力を習得しましょう。

さいごに

いかがだったでしょうか?

子供たちが健やかに成長するためには、保護者や教育者が彼らに適切なサポートを提供することが不可欠です。その中でも、自己評価を高め、自己肯定感を育むことは非常に重要です。
また「傷つきやすさ」と反対の概念として、「レジリエンス(精神的回復力)」があります。
後日、この概念についても紹介しています。

御拝読ありがとうございました。

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