精神的回復力について

生活面

思春期、青年期には、つらい体験や困難な出来事がつきものです。

今回は、以前紹介した「傷つきやすさ」と反対の概念である「精神的回復力」について紹介します。

(「傷つきやすさ」や「傷つき体験」についての解説は以下のページより。)

思春期における傷つきやすさについて

「精神的回復力」は、思春期から青年期に大変重要になるものです。
では、見ていきましょう。

精神的回復力(レジリエンス)とは

※精神的回復力=レジリエンスとも言われ、以下のような力を表す概念です。

  • つらい体験をしたときの落ち込みから立ち直る力で、心の弾力性
  • 困難な出来事を克服し、その経験を自己の成長の糧とみなし、受け入れることができる力
  • バランスを失わず平常心を保つ力

    子どもたちは精神的回復力を成長させる体験を積み、
    保護者や教員はその成長を促すような取り組みが必要になります。

精神的回復力を育てるために

精神的回復力を育てるポイントを挙げてみます。
分かりやすいように、教育現場の例なども挙げながら解説します。

point1 じっとしてないで行動する。

(例1)
「小学生の頃は、塾が忙しくてスポーツは一切していなかった。」
「何か運動部活動に入りたいと思っているけど、どの部活動に入るか悩んでいる。」

友人に誘われてサッカー部の練習に誘われたとしましょう。
ここがポイントです。経験もないし、不安だから断りますか?
「スポーツがしたいと思っているなら、まず行動してみましょう」
初めての経験で、やるべきことが分からなかったり、上手くできないのは当然です。
しかし「行動したこと」が大事です。

練習に参加してみることで、自分に合った部活動かどうかを確認できます。
数日練習に参加してみた結果、ボールを脚で操るより、身体のぶつかり合いに楽しさを感じたら、
「サッカー部よりもラグビー部の方が楽しめるかも」と思うかもしれません。
サッカー部の練習を体験したことで、自分にはラグビー部の方が向いているかもと気づきました。
「部活に入ろうかどうしようか」から「どの部に入ろうか」に進みましたね。

慎重すぎる思考や失敗を恐れる気持ちが行動を遅らせることがあります。
慎重に行動することは大事なことですが、同じ場所にじっとして何もしないのはNGです。
悩むのはよいです。しかし、何もしないで悩むのではなく、行動しながら悩みましょう。

point2 捉え方(リフレーミング)

リフレーミングとは、ある出来事や状況を異なる視点から見ることで、それに対する認識や感情、行動を変化させることです。

次の慣用句を生徒に対して考えさせます。

「Is the glass half empty or half full?」
(コップは半分空か、半分満ちているのか?)

コップに水が半分入っているという1つの状況があります。

これは、同じ状況でも前向きな見方と否定的な見方があることを表しています。
「コップには水が半分しか入っていない」というネガティブな見方もありますし、
「コップには水がまだ半分入っている」というポジティブな見方もできます。
どちらが正しいということではありません。

(例)
・高校3年生が、「受験までもう1年しかない。」と悲観的になっています。
・高校1年生が、「受験なんてまだまだ先の話だ。」と楽観的になっています。

高校3年生が「まだ一年間学ぶことができる」という考え方を持つことで、学習意欲を高め、受験までの日々を前向きに送れるかもしれません。
一方、高校1年生は「受験まであと3年」と考えることで、適度な緊張感を持ちながら日々の学習に励んでほしいものです。

「ネガティブ思考」と「ポジティブ思考」
「プラス思考」と「マイナス思考」
結局、選んでいるのは生徒自身です。

一つの考え方や見方に固執していると気持ちが折れやすくなることがあります。
現状を肯定的に意味づける練習をするよう生徒たちにすすめています。

point3 共有

学生時代はさまざまなプレッシャーやストレスにさらされることが多いものです。
そのため子どもたちは「不安定な状態」になっていると想像してください。

そんな不安定な状態にある子どもたちにとって必要なのは「安定した世界」です。

⇨ 一緒に悩みや不安を抱えてくれる友人や大人がいるか
⇨ 不安定さを治めてくれる安定した世界があるか

生徒たちは安定した存在に支えられることで、自信を持って未来に向かって歩むことができます。

子どもの成績が悪い時に大人も一緒に取り乱してしまう、仕事の悩みを子どもが気づいてしまうくらいに垂れ流してしまう、子どもの前で夫婦ゲンカをしてしまうなど、大人が不安定ではありませんか。

不安定な子どもと一緒に大人も不安定にならないこと。
大人は安定しておくことが重要です。

まとめ

いかがだったでしょうか。

思春期に精神的回復力を育てることは非常に重要です。
自分自身の力で問題を解決し、困難に立ち向かうことを可能にします。

子どもにとって、将来の健康的な成長と発展につながる重要なステップです。
大人もしっかりとサポートしていきましょう。


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