私は進学校での部活動指導を20年近く続けてきました。
その経験から、進学校においても部活動への参加は積極的におすすめしたいと思っています。
(参考:進学校での部活がもたらす効果)
私が経験より得た知見やノウハウを皆様にお届けできればと思います。
部活動に携わる方々や指導に興味のある方々にとって、役立つ情報を提供できれば幸いです。
今回は、「進学校部活動における生徒の自主性」について紹介していきたいと思います。
はじめに
進学校に通う生徒たちは、勉強に力を入れるために部活動に力を注げないと思われがちですが、
それは誤解です。実際に進学校でも、多くの生徒たちは部活動に取り組んでいます。
「進学校なら部活動より学業に専念した方が効率的で賢明でないか」と考える人もいるかもしれませんが、部活動を続けることで得られるメリットは大きいのです。
部活動は、単に活動をするだけではなく、多くのスキルを身に着けることができます。
また、部活動を通じて得られる友情は、将来の人生においても大切な資産となります。
進学校であっても部活動を続ける生徒たちは、勉強と部活動の両立に取り組み、多角的な能力を身に着けているのです。部活動は進学校での生活を充実させるポイントの一つと言えるでしょう。
生徒たちは、かけがえのない青春の時間を部活動に注ぎ込みます。
その時間をともに過ごす部活動顧問の存在は彼らの人生にとって大きなものではないでしょうか。
部活動指導者は、生徒たちの成長をサポートする責任があり、使命を持つことの大切さを感じます。
では「部活動における生徒の自主性」についてお伝えする前に、
まず私が進学校部活動顧問に就任してから現在に至るまでを紹介します。
部活動顧問就任当初から現在に至るまで
進学校部活動顧問に就任するまで
私は幼少期から競技スポーツの世界に身を置いていました。
特に中学・高校・大学時代は、部活動に没頭し、休日はほとんどないような生活でした。
そのため、友達との遊びや家族との時間はないに等しい生活でした。
競技スポーツの世界では、常に自己超越を追い求め、挫折や努力の成果を味わうことができます。
私は選手としての実績はさほどではありませんでしたが、そうした経験を通して身に着けた能力や考え方を、子どもたちに伝えたい気持ちもあり、教員を目指しました。
進学校部活動顧問就任直後の指導
大学卒業後、縁もあり、私は現在勤めている学校(進学校)の教員になりました。
部活動では、私が専門とする競技の顧問を任されました。
この依頼を受け、嬉しい気持ちと同時に、競技者としての経験はあるものの指導者としての経験がないことに多少の不安もありました。
コーチングについての専門的な知識がない私は、これまでの経験を元に、自分自身の身体を使いながら部員たちに指導しました。部員たちは文句も言わず、私の指導についてきてくれました。
「私がこれまで経験してきたことをそのまま彼らに当てはめていいのだろうか」という思いは常にありました。私の過ごした学校生活は、日々の学業に忙殺されることなどない、彼らの学校生活とはかけ離れたものだったからです。
日々の学習に追われる彼らにとっては、私の指導は大変厳しいものだったでしょう。
進学校に突然、競技一筋の人間がやってきて指導を始めたのですから。
逃げ出したくなったこともあるだろうと容易に想像できます。実際辞めた部員もいました。
当初の私の指導を受けて卒業していったOB部員からは
「やるかやらないかは自分たちが決めること。先生は全力でやってくれればいいんですよ」という激励の言葉をもらい、励まされたこともありました。
赴任当初の私の指導に辛抱強くついてきてくれた生徒たちには、心から感謝しています。
指導法を変化させたきっかけ
赴任して5年目がすぎた時期です。
当時、主将を務めた生徒は、自分にも部員にも非常に厳しい生徒でした。
彼は学業も学年トップクラスの非常に優秀な生徒でした。
入部当初から私の指導を受けていたのでそういうスタイルになったのかもしれませんが、
私が赴任してからの歴代の主将たちと比較しても、非常に厳しいストイックな生徒でした。
そんな彼ではありましたが、同級生部員たちも、主将としての彼を尊重し協力的でした。
「部活への取り組みが(進学校にしては)厳しすぎるのではないか」と私も思ったほどでした。
しかし、余計な口を出さずに彼らの部活動運営をしばらく見守っていました。
ある時、
「部の運営を主将を中心とした最上級生たちに任せてみよう」と思いました。
私はその考えを実行することにしました。
それまでは、練習日程だけでなく練習計画まで、すべて私主導でしたが、
主将を中心とした最上級生に部の運営を任せ、私は彼らに協力する立場をとりました。
ただ、彼らが技術や部活動の運営について相談してきたときには、何でも相談に乗ってやれるような「引き出しが沢山ある男」であろうと思いました。
その後の部員の変化
部活の運営を生徒に任せることに不安はありました。
「甘えた練習になるのではないか」、「競技力の向上は望めないのではないか」、「個人が好き勝手なことをする統制ない部になるのではないか」と。
しかし、最上級生たちに部活動運営の責任と主体性を持たせることによって起きた変化はプラスの面が多かったと思います。練習時間が減るどころか、「休日に筋力トレーニングをさせてくれませんか」、「他校に練習試合の行かせてもらいませんか」など、自分たちが成長するための提案を上級生が私にするようになりました。
私がワンマン指導をしていた時期から生徒が主体的に部の運営をすることになっても、競技実績が下がることはありませんでした。学業成績に関しても下降する生徒が増えるようなこともありませんでした。途中で部活動を辞めていく部員も減りました。
何より嬉しかったのは、
ハードトレーニングに取り組みながらも部員に笑顔が見られるようになったことです。
主体的に練習に取り組むことの素晴らしさを感じました。
現在でも、部員の考えを尊重すること、生徒の主体性を促すことを大切にしながら
部活動の顧問を続けています。
進学校部活動における生徒の自主性について
部活動の時間が少ない進学校においては、生徒たちは自らの意欲と自主性によって、充実した部活動生活を送ることができます。限られた時間の中で、多くのことを学び、成長することができるのです。
生徒たちは自ら考え、計画を立て、行動することが重要となります。
先輩、同期、後輩と協力し、目標を達成するために努力する時間は尊いものです。
将来的にも大きなメリットをもたらすことでしょう。
生徒たちには、今後も部活動に熱心に取り組み、自分の能力を高めていってほしいと思います。
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